“Who Moved My Cheese?” の感想

昔読んだ洋書をふと思い出したので、思い出しながら感想を書きます。まだ大学2年生で、希望に満ち溢れていた時に読みました。

Who Moved My Cheese

日本では『チーズはどこへ消えた?』というタイトルで邦訳が出版されました。原題を直訳すれば「誰が僕のチーズを動かした?」ですが、敢えて「チーズはどこへ消えた?」とするところが日本語っぽくて良い訳ですね。

ちなみにWho moved my cheese? という構文は、疑問詞がそのまま主語になるから倒置は起きず、動詞も過去形のままという、高校受験でちょっと曲者の文法ですね。

本の内容に話を戻します。

アメリカの自己啓発本らしく、伝えたいテーマは非常にシンプルで、それを冗長に繰り返して伝えるタイプの寓話です。有名な”The Goal”とかもそうでしょう。

この本のメッセージは1つ

変化し続けることが善である

ということです。とにかく動きまわった者がチーズを得たというシンプルなストーリーはその1つのメッセージを伝えるために書かれています。この話の中ではその場に留まった者は何も得られません。

このメッセージは私は好きなのですが、当然ながら反論があります。

変化しない方が良いこともある

という主張です。日本では『バターはどこへ溶けた?』というパクり本が存在し、その本では、その場に留まった者が得をする話が書かれています。

これは、どちらもありうることを主張しているので、どちらも正しいです。ある状況ではどちらかが正しくどちらかが正しくない、ということに過ぎません。

例えば転職などがそうではないでしょうか。”Who moved my cheese?”に従って行動すれば、現状を改善するために、積極的に転職をした方が良いと考えます。上手く転職すれば給料が上がって人間関係も良くなってハッピーになりますが、統計では転職して給料が下がる人はかなり多いらしいです。そういう人は転職せず、前の会社に残った方が良かったのかもしれません。

変化した方が良いこともあるし、変化しない方が良いこともある。これは正しいです。ですが、何も言っていないのと同じです。

私としては、ただ待ってるだけでは状況は改善しないと思っているので、”Who moved my cheese?”的な考え方は好きです。

使われている英語に関しては非常に平易で大学生の時の私でも読めました。メッセージがシンプルで、内容も面白く英語も読みやすいので、これは洋書の入門としてかなりオススメの本です。

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