5年ぐらい前から「海外就職」というキーワードを聞くようになりました。このブログはTOEICがテーマですので、海外就職をしたい人が読んでくれているかもしれませんね。
かつての、海外で働くと言うと大企業に就職してアメリカやヨーロッパに駐在するというイメージを覆し、シンガポールやタイなどアジア諸国に現地採用の枠で就職するという意味合いでそのキーワードは使われました。
現地採用の海外就職という考え方が新しかったのは、日本の伝統的な大企業に入るには新卒採用で入るのが最も一般的なルートですが、アジア諸国の現地採用なら、中途採用でも充分に入り込める余地があったからです。夢の海外就職が、広く開かれているのです。
確かにこれは、職歴に大きなプラスをもたらします。昨今は本当に多くの企業が海外展開をしたがっており、海外に住んでビジネスをした経験というのはその先いろんな会社で評価されるでしょう。
また、海外就職という言葉が流行り出した時、日本はリーマンショックの余波で、未曾有の就職難でした。日本経済は成熟してしまっていて、成長率の高い新興国でチャンスを掴みましょう、だから海外就職が良いよ、という文脈でも海外就職は推奨されていました。発展している場所にはたくさん仕事があるから、衰退していくだけの日本なんか捨てましょうということです。
当時からなんとなくこの理論には私は違和感を持っていました。日本経済は成熟していて、高齢化が原因で消費は落ち込むことが目に見えています。ですが、高齢化しているということは、社会の中で若いことが希少になっていると思ったのです。だから、いずれ若い働き手は足りなくなり、日本で働く方が職にあぶれることはなくなるんじゃないの?と思っていました。このことは、出口治明さんの本にも書いてありました。
あれから5年が経ち、世の中は人手不足の風潮が強まってきました。団塊の世代が定年退職して、働き手が不足しており、多くの会社が人材の獲得に困るようになってきました。高齢化して経済が縮小していく日本というのも、就職市場において若者に有利に働く面があったのです。
これは、どっちが正しいとかどっちがいいという話では全くありません。確かに日本国内は人手不足になり、就職難は改善されましたが、発展しているアジア諸国で日本人が比較的就職しやすいのも真実です。そして海外で就職して経験を積むことは価値があり、その後の転職活動で評価されるでしょう。そもそも人生は、やりたいことをやるのが一番です。
ただ今回の記事で言いたかったのは、高齢化で日本はもう衰退していくだけだとよく言われるけど、個人にとっては悪いことばかりではないよ、ということです。それに日本は大抵の外国より安全で食事も美味しいし衛生的ですね。まあ、私は日本のガイドなので日本を美化してしまいがちではあるんですが…。