『国際学会English挨拶・口演・発表・質問・座長進行』のレビュー

今日は一風変わった英語教材を紹介します。

この本は、学会で発表する医師の人のための英語教材です。国際学会で英語で発表しなければならず、英語力の面で苦戦している医師が、世の中に割と居るのでしょうかね。

医師向けとは言え、この本は医療に関する専門的な話は一切出て来ず、全編がプレゼンテーションのための英語を説明する教材になっています。なので、プレゼンテーションのための英語を学ぶのにかなり良い教材でした。ビジネスのプレゼンテーションならばそのまま使えるような表現が目白押しでした。

私がやっている通訳ガイドの仕事は、常に英語でプレゼンテーションをする仕事と言えなくもありません。なので私も仕事で使えそうな英語がたくさん載っているなぁと思いました。しかし、この本に書かれているのはフォーマルな英語です。また、科学的な内容を発表する人に向けたガイドブックであるため、非常に堅苦しい英語です。これをそのまま通訳ガイドが話してしまうのは、観光案内という状況にそぐわないかもしれません。

でも私は、敢えてこういう堅苦しい英語を勉強するのは、基礎を固めるという意味でも効果があるし、またお客さんはこういう地に足の着いた英語を意外と求めているのではないかと言う気がしています。プレゼンテーションのような英語は、分かりやすく物事を伝えるための基本形であり、その分かりやすさというのは、観光案内であろうとも有効だと思います。なので通訳ガイドの人もこの本は読んで損は無いでしょう。

この本が良いと思うのは、いわゆるプレゼンのコツではなくて、英語表現の紹介に紙面を割かれていることです。プレゼンとは、情報の伝達と、それに伴うQ&Aのやり取りです。そのための英語表現とは、非常に汎用性の高い表現になります。例えば

「重要な点は~というところです。」という日本語は

I’d like to stress that ~.

という例文が紹介されています。これは、stressの使い方として、情報を伝達する会話をしている時に非常に便利な用法だと思います。学会じゃなくても使う機会がありそうですね。

また、司会者として謝辞を述べるシーン等も想定されており「(会議の運営にかかわった人、スポンサーなど)にお申し上げます」という日本語については

I would like to thank everyone who helped us to organize this conference.

という例文があり、これも、I thank というthankの用法があり、Thank you. のイメージが強すぎる我々にthankの使い方を示してくれていて面白いと思いました。こういうシンプルな英語が状況に応じて紹介されていて、かなり使い勝手が良いです。

私はビジネス関係の英語というと、TOEICの教材で暗記しました。TOEICの教材は、点数を取るという目標があるので、非常に強いモチベーションを持って取り組むことができます。その点は良いのですが、やはりこういう、ある目的に沿って英語が配列されている参考書というのは、仕事で英語を使う上では便利だなと思いました。その分、TOEICはそういう本よりは幅広く英語を学べるので、英語力の底上げに良いと思います。世間ではTOEICの英語は範囲が狭いとか言われていますが(笑)

『国際学会English』は、英語で何かを発表する人には凄くお勧めの本でした!

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