私がTOEICで900点を突破した方法

TOEICで900点を突破した時の学習記録については、こちらの記事に書きました。今日はその学習がなぜ必要でどのように効果があったのかという考察を伝えます。尚、どうしてもスコア帯によって必要な勉強法は異なりますので断っておきますが、私が伝えられるのは885点から910点に上がった時の方法です。

※こちらの記事はTOEICの問題がPart5が40問出題された時代のTOEICについての記事ですので、ご注意をお願いします。

課題の認識

私の課題は、制限時間内にリーディングが全問解き終わらないことでした。TOEICで885点と言うと全問解ききることができるだろうと昔は思っていたのですが、模試でも本番でも、いつもリーディングで3問ぐらい塗り絵(時間が足りなくなって勘でマークすること)していました。これを全問解ききるスピードを付ければ900点は取れるだろうと思っていました。逆に言えば私はPart7の正答率などはかなり高かったのです。時間さえあれば正解にたどり着けるタイプの受験者でした。

何故塗り絵をしてしまうのか

私はいつも、Part5に19分ぐらいかけていました。分からない問題に遭遇すると1分ぐらい悩んでしまい、結局勘でマークする、ということがよくありました。その結果Part7で3問ほど塗り絵していました。これは非常にもったいないことです。

塗り絵を解消するためにどうしたら良いのか

リーディングで手強いのは、何と言ってもPart7です。ここを速く読めれば、かなりタイムを短縮できます。しかし、英文を読むスピードを上げることは、一朝一夕にはできません。

それよりも、全体の時間配分を見直すことにしました。よく言われるのが、Part5に14分、Part6に6分、Part7に55分という時間配分だと思います。これを強制的に実行するための手段が、Part5を最後に解くという方法です。焦って解くと1問に1分とかかけられないので、Part5で無駄な時間を使わないで済むんですよね。ただ、今まで19分かけていたPart5を14分で終わらせて、できれば正答率を上げたいので、やはりPart5の強化は最重要課題でした。

そこで、JunさんというTOEICで何度も満点を取得している方が仰る900点特急の音読という勉強法を始めました。

900点特急の使い方

(こちらは2017年に発売された改訂版ですが、この記事を書いた時、私は旧版の本を読んでいました)

この本の効果的な使い方を説明しますが、実際は900点特急の中で推奨されている勉強法を実行したのとあまり違いはありません。実は本の序盤に書いてあったのです。それを今まで実行していなかった私が悪かった。さて方法は以下の通りです。

    1. 問題を解く、解説をじっくり読んで理解する
    1. リスニング用音声を聞きながらテキストを音読、即ちオーバーラッピングする
  1. シャドーイングと音読をする

基本的には以上の順番で行いましたが、声を出せない環境で勉強する時は黙読で回答する→解説を読むというところに戻ったりしていますので、上記の過程を何周もやっているという感じです。この辺りの話は、前回の勉強記録の記事の方に詳しく書きました。

900点特急の学習過程での変化

1冊のテキストのみを使い続けていると、自分の状態が変化します。

最初に訪れた変化は、答えを覚えたため、間違えなくなったということです。ただ、まだ選択肢を見なければ答えは分かりません。選択肢を見ると、間違えずに回答を選べるという状態です。これは、答えの選択肢を見なければ答えを思い出せない、又は外れの選択肢も見なければ答えを選べない、という点でまだ学習途中の段階です。ちなみに、答えは全て回答根拠と合わせて覚えることが大事です。

次の変化は、選択肢を見ずに正解を出せるようになったということです。ただ、前後の単語などを見て、少し考えて思い出すというレベルです。

最後に、問題を見た瞬間に答えが分かるという状態になりました。ここまで来るとさすがに、Part5の他の問題集を解く能力もかなり上がっていました。だいたいの問題が、900点特急の問題のどれかのパターンに当てはまるんですね。900点特急は問題の空欄になっていない箇所についてもTOEIC頻出の表現が頻出の、非常に美味しい問題集です。空欄以外の部分もけっこう覚えてしまっているので、同じ表現が出題されると、何となく解けます。

900点特急学習を終えた効果

900点特急の全問の答えを暗記して即座に解ける状態でTOEICに臨んだ私は、それまでと比較して確実にPart5で瞬殺できる問題が多いと感じました。Part5を13分で攻略でき、私は自分の公開テスト受験歴の中で初めて塗り絵無しで試験を終えることができました。結果、正答率も向上していました。

また、Part7や、リスニングパートにおいても効果がありました。何度もシャドーイングしていたので、TOEIC本番ではかなりリスニングの調子が良かったです。そして、これは何となくとしか言えないのですが、Part7を解くのも早くなったと思います。これらの効果は、TOEIC受験後に読みましたがこちらの本『シャドーイングと音読の科学』で説明されている効果が実際にあったのだと思います。

Part5形式の問題が100問と、Part6形式が10題しか収録されていない900点特急を何度も解き、音読とシャドーイングをしただけですが、TOEICにおける全パートで得点力が向上しました。Part4やPart7などの長文も、結局は短文の組み合わせで構成されているので、一文一文の理解を深めるPart5の繰返しは効果があるのだと思います。実は900点特急はかなりエッセンスの詰め込まれた問題集だったのです。

同じ問題集を何度も解く・読むことの是非

私は昔から、同じ問題集を何度も解くのが嫌いでした。大学受験の時も、特に試験直前などは問題集は多くても2周ぐらいしか解かなかったと思います。勉強は飽きずに続けることが大事だと思っていて、同じ問題集を何度も解くと飽きるので、あまりやりませんでした。

しかしTOEIC業界では、HAMMERさんとか凄いTOEIC講師の方はみんな口を揃えて

「一冊の問題集を徹底的にやれ」

と言っています。私は今まで逆らっていたわけですが、今回実行してみて、その効果を実感しました。

また、この勉強法はテキストを1冊しか使いませんので、非常にシンプルで勉強しやすいです。日々の仕事で忙しいサラリーマンに向いている勉強法だと思います。特に一日の勉強時間が2時間ぐらいしか取れないのならば、一冊に絞って深く定着させるのが良いと思います。

最後に一言

900点特急は一冊で相当効果が出る、非常に美味しい問題集です。しかし問題が難しいこともあり私のように1回だけ解いて本棚に眠らせている人は多いと思います。もし900点の壁に阻まれて、勉強の指針を見失っている方が居らっしゃったら、是非900点特急のやり込みに挑戦してみてください。きっと効果を得られると思います。

『出る単特急 金のフレーズ』

新TOEIC TEST 出る単特急 金のフレーズ
オススメ度(5段階) ★★★★★

TOEIC対策本のベスト3を挙げるとしたら、『文法特急』と共に間違いなくランクインするのがこの『金のフレーズ』です。この本には本当に度肝を抜かれました。この本は以下の点で他の単語帳を圧倒する凄さを持っています。

  • 日→英の単語帳
  • TOEICフレーズ
  • 完全にTOEICのための単語帳

まずこの本の特徴として、日本語訳を先に見て、英単語を後で見る形式になっています。こうすることで、単語帳がちょっとした穴埋め問題になっており、パート5の練習になります。素早く空欄の英単語を連想できれば、4択でも解けるに決まっています。またこの方が記憶するまでに負荷がかかるので、単純な英→日の暗記よりも、一度覚えてしまえば記憶に残りやすいです。

その見出し語が、TOEICフレーズという短いフレーズで記載されていて、実際にその単語が試験に出る形で覚えられます。例えば

  • conduct a survey
  • We appreciate your patronage.
  • on the premises

みたいな感じです。世に単語帳は無数にありますが、私はフレーズ暗記形式が最強だと思います。よくあるのが、見出し語+例文の『英単語ターゲット』みたいなトラディッショナルな形式ですね。あとは『速読英単語』以来スタンダードになった長文の中で覚える形式も多いと思います。

例文も長文も余計な部分が多く、覚えにくいと私は思います。だったら無駄を削ぎ落したフレーズが最適でしょう。さらに、この形式はセットで使う前置詞や目的語が覚えられるだけではなく、そもそも単語単体で覚えるよりも覚えやすいというメリットがあります。例えばこの単語帳にあるフレーズ

  • 見出し語 “infrengement
    フレーズ 
    copyright infrengement 著作権侵害
  • 見出し語 “proximity”
    フレーズ 
    proximity to the beach ビーチへの近さ

これら2つの項目は、”infrengement”や”proximity”を覚えようとすると、意味がなかなか頭に入りません。しかし、copyright infrengement だと、著作権と言えば「侵害」と頭に浮かびやすいので、フレーズであることが記憶の補助となります。このようにメリットがたくさんあるので私はフレーズ暗記形式の単語帳を好んで使います。

あとはこの本の良さは、何と言っても、完全にTOEICのための単語帳であるところですね。普通の単語帳は、目的が絞りきれておらず、その語の代表的な意味を掲載していたりするんですが、金のフレーズは、TOEICで出てくる意味が中心です。

例えば outstanding という単語は、「ずば抜けた」という意味が代表的だと思いますが、この本では「未払いの」という意味が強調されています。TOEICではこの意味でよく出てくるからです。これにより、TOEICの文章を読んでいる時に、スムーズに、その場での意味で解釈することができます。

また、見出し語が1000語と少なめで、完全に覚えられる分量というのも良いです。

TOEIC対策の単語帳としてここまでよくできた本は他に無いと思いますので、本当にオススメです!!

『1駅1題 新TOEIC TEST 文法特急』

1駅1題 新TOEIC TEST文法特急
オススメ度(5段階) ★★★★★

TOEICの参考書を1冊しか使ってはいけないと言われたら、この1冊を選びます。この本はそれぐらい効果的な参考書です。

ざっくりと、この本が何故良いのか、3つのポイントを先に上げておきます。

  1. 丁寧な解説により、TOEIC出題者の意図が分かる
  2. 早く解く練習になる
  3. 本の構成が非常に勉強しやすい

この本は文法問題に絞った本です。パート5とパート6の問題と解説しか載っていません。パート5と6というのは、リーディングセクションにおいて、パート7よりも先に対策すべきパートですので、TOEIC初心者には特にこの本を勧めます。

というのも、パート7は長文読解ですので、一朝一夕には攻略できません。しかしパート5&6は、TOEIC独特のテクニックというか、出題者の意図を知ってしまえば解ける問題が多いのです。逆に言うと、英語の文法力はあるのに、TOEICで問われていることを知らないが故に点が取れないという人もよくいるのです。

私がそのケースでした。TOEICを初めて受けた時の私は、大学受験では英語は得意科目だったのに、TOEICはからっきしでした。特にリーディングがダメでした。文法問題が、全然解けないんですよね。そして最後は時間が全然足りず、終盤30問全部塗り絵、という事態がザラにありました。

文法問題が解けないのは、文法を分かってないからではなく、TOEICの出題者の意図を知らなかったからでした。例えばパート5では空欄に入る語の品詞を問う問題が頻出ですが、空欄の後ろに主語と動詞があったら、空欄には接続詞が入るとか、そんなことで解けるんですね。私は一生懸命意味を考えていました。意味を考えるとどれも正解のような気がしてきて、解けないようになっています。文法特急でそのことを学んだ時は、まさに目からウロコでした。

パート7に1問1分以上を残そうとすると、パート5と6に避ける時間は、20分しかありません。するとパート5は40問を14分以内に解くのが理想で、1問につき約20秒で解いていく必要があります。初心者のころの私は、文法問題で悩んで、普通に1分ぐらい費やしてましたね。

パート5の問題1問に1分も費やすなんてのは言語道断で、分からない問題は長くとも40秒ぐらいで見切りを付けるのがハイスコアへの鉄則です。文法特急は、徹底して時間を意識させる構成により、早く解かなければならないという意識付けができると同時に、そのためのテクニックが丁寧に解説されています。

その構成の良さもこの本が名著たりえる所以です。まずサイズが小さくて良いんですよね。新書サイズは、持ち運んで勉強するのに最良のサイズじゃないでしょうか。そこそこの誌面スペースを確保しつつ、薄い。机が無いところで、手に持って読むのに最適です。

そして、問題1問とその裏に丁寧な解説というのも良いです。すぐに答え合わせができるから、非常に勉強しやすいです。

以上、ひたすら絶賛してきましたが、800点突破への第一歩はやはりこの本だと私は強く信じてますので、みなさんに激しくオススメします!