凄い本を読んでしまった。
旧日本軍は、なぜ米軍にやられてしまったのでしょうか?
そもそも勝ち目が無い戦争だった?
他国を侵略してはいけなかった?
従軍慰安婦なんていう破廉恥なことをするバカな軍隊だった?
南京大虐殺をする残虐な軍隊だった?
日本とアメリカの国力の差が大きかった?
そんな感想を持っている人が多いのではないでしょうか。近年の日本の歴史教育は自虐史観が浸透し、とにかく
「戦争はいけません」
「日本軍は悪いことをしました」
に終始しています。今の子供は大東亜戦争に対してそんな印象しか持っていないのではないでしょうか。
戦争全体としては、国力の差が大きかったことが敗因かもしれません。しかし、戦争というのは個々の戦闘の集合体を指すものであって、日本軍が個々の作戦レベルの話として、どのようにして負けたのか?ということはあまり知られていません。
この本は、日本軍が敗北した6つの作戦について、なぜ日本軍が負けてしまったのかということを説明します。その上で、組織としての欠陥、そもそも戦略とはいかにあるべきか、という論点で大東亜戦争における日本軍の失敗を総括します。
戦争は殺し合いです。そんなものを学んだところで、この平和な21世紀に役に立つことは無いと思うかもしれません。戦争に勝つ方法を学ぶのではなく、戦争を起こさない方法を学ぶべきだ、なんて言う人もいるかもしれません。SEALDsかお前は、という感じですね。
とんでもないです。この本は、21世紀の日本を生きる上でも、必読の書だと思いました。
日本軍が犯した失敗とは一体何だったのでしょうか?それは、
- 戦略的グランドデザインの欠如
- 議論のできない風土
- 年功序列で新陳代謝されない人事制度
- 敵軍の戦力を軽視する精神主義
- 失敗から学ぶシステムの欠如
などです。これを見て、何か思うことはありませんか?
そうです。これは、2016年現在の日本の大企業・官公庁が抱える問題点と全く同じなのです。我々の組織が抱える欠陥は、実は旧日本軍から脈々と受け継がれてきたものなのでした。この本を読んでいると、マジで自分の社内で起きていることがフラッシュバックしますよ。しないという人は、先進的な組織に居る人だと思います。
この本が1984年に書かれたということが、私には衝撃でした。30年以上も前に、当時の日本の大企業や官公庁が抱える問題点が、旧日本軍と同じであるということが指摘されていながら、今この本を読んでも全く古いと思わないんですね。
組織の抱える欠陥、戦略とはどうあるべきか?などが学べる、素晴らしい本でした。サラリーマンは必読ですね。