『語源でたどる英単語まんだら』のレビュー

今日は一風変わった単語集を紹介します。

語源でたどる英単語まんだら
オススメ度(5段階) ★★★★

語源系の単語集は、いくつも読みました。中でもこの本は、語源から各単語に広がっていくことを独特の図で表現しており、とても面白いです。まんだら図に見立ててまんだらという書名を冠しているわけですが、その実は、マインドマップに近いです。印欧祖語の語源から放射状に派生語が伸びていくような図です。

語源系の単語集って読み比べると、案外似通っていることに気づきます。例えば

語根:gen
意味:種・誕生

などと見出しがあって、派生語として

gene 遺伝子
generate 発生させる

みたいに列挙されているという形式・語彙のチョイスが似ているので、あまり目新しさが無いんです。この、やや古い本

語源中心英単語辞典

からあまり進歩していないように思えます。語源的にこう辿れるんだよ、と学術的に判明していることを書いているからこうなるんです。

英単語まんだらは、学術的根拠ではなく、著者の個人的インスピレーションに基づいて書かれています。ヨーロッパ系の言語の素となった印欧祖語から、ゲルマン系、ラテン語系、ギリシャ系へと枝分かれしていき、それぞれが現代英語の語彙となっているという言葉の広がりを感じることができます。著者が矢印を書いていて、例えば

nomn 「名前」が基本イメージ

ラテン語系
nominal
 名ばかりの、名目上の、ごくわずかの

nominate 指名する

misnomer 呼び間違い

ignominy 不名誉

ギリシャ系
anonymous 匿名の

synonym 同意語

antonym 反意語

onomatopoeia オノマトペ

pseudonym 偽名

こういう感じです。これが放射状の図で書かれています。この矢印は本当にこういう変遷をしたという意味ではなくて、著者が意味のつながりをインスピレーションさせて書いたものです。印欧祖語から発展した各言語から、豊富な語彙が英語へ帰っていく、英語という言語の豊穣さを感じることができる素晴らしい本です。

元々は、語源系の単語集を読んだのは英検1級の対策のためでした。英検1級は語彙が非常に難しく、全部覚えようとするとキリがありません。できるだけ語の意味を類推して問題を解けるようにするために語源の勉強をしました。

中でも、この英単語まんだらは語のチョイスが英検1級向きで良いと思います。アカデミックな語彙を割と収録しているんですね。上の例で言えば pseudonym なんかがそうで、これはTOEICでは出ない語彙ですが英検1級では出るかもしれません。

TOEICとは違う角度で英語を学びたくなったら、英単語まんだらは非常にオススメです!英検1級の対策になりますし。

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