『新・観光立国論』のレビュー

これは凄い本でした。観光業に関わる人は必読の本ではないでしょうか。

最近、テレビでは中国人観光客の爆買いが報道され、訪日外国人旅行客が増えたことがよく報道されています。2015年は1973万人に増えたそうで、これは10年前の2005年の約3倍の人数です。一見、最近の日本の観光ビジネスは上手くいっているように見えます。

が、この本では日本の観光ビジネスは全然ダメだと、バッサリ切り捨てています。全然ダメというよりは、まだまだこれから伸びると言っているとも言えます。

日本への観光客は、客数は増えても消費金額が小さいらしいです。経済の発展という点では、客数よりも消費金額の方が大事です。そもそも目標の立て方が良く無いですね。

何故、観光客にお金を使ってもらえないかと言うと、日本の観光地ではより多くお金を使ってもらおうというサービスが無いとのこと。料金は一律同じで、もっとこうして欲しいと客が要求しても、追加料金によって対応することはなく、それはできませんと断るような仕事のしかたをしています。

観光に限らず、日本のサービスって、安くて良いものを提供しようという姿勢なんですよね。ですから、サービスを向上させるという目標を掲げれば、できるだけお客さんにお金を使わせないで、今と同じ値段で良いサービスを提供しようとするわけです。世界的には、良いものを提供するならば金額が高くなって当然、という考え方が主流です。日本の観光地は、もっと富裕層向けのオプションを用意すべきとのことです。

しかしこれは日本の良さと表裏一体ですよね。安いのにこんなにサービスしてもらった、みたいなのが美徳とされていて、実際そういうのが日本人は好きなんですよね。金額でサービスをグレード分けしたら、客を差別するのか、とか言う人が出てきそうです。

他に印象的だったのが、この本では全体的に、日本の観光戦略がひとりよがりのものになっているという話です。クールジャパンとかって、日本にはこんなに素晴らしいものがある、日本人の精神性はこんなに素晴らしい、という考えがあって、それを分かる人に伝えたいという姿勢です。

客の立場からすると、そんなのどうでも良いことが多いです。それより、客が求めているものを提供する方がビジネスとしては上手くいくと思います。例えば京都の街は夜遊ぶところがあまりありませんが、そんなのは京都には必要ないと考えるのでなく、ニーズがあるならば作るべきです。

全体的に日本では、「それはそういうものだからそのままにしておく」みたいな発想が多いんですね。観光に限らず。

しかし、日本人は1億人も居ますから、全てを外国人向けにするのを嫌がる人が居るでしょう。英語の看板だって、日本人にとっては邪魔だから不要だったりすると思います。そういうところを変えないと、日本の観光業は良くならないでしょうね。

観光に限らず、全てのビジネスに通ずる話だと思います。非常に勉強になる本でした。

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