超・英文解釈マニュアル―学校で絶対教えてくれない かんべ やすひろ著
オススメ度(5段階) ★★★★★
この本は素晴らしい内容でした。英文を読む時に必要な脳の働きを上手く説明している本です。
いわゆる5文型という考え方は、高校で習う英文法の中では最も大事なものではないでしょうか?
文法の教科書の最初に載っている単元ですが、生徒の多くは、ふーん、で済ましてしまいます。そして仮定法過去とか比較級で多くの勉強時間を割いてしまう。しかし特に長文読解する時に、最も重要な文法事項は間違いなく5文型でしょう。生徒は大事な5文型を理解する前に些末な文法の暗記に時間を取られてしまっています。
そしていざ長文読解の授業では、SだとかVだとかOだとか、教師が呪文のように説明をします。どれがSでVでOなのかは分かったから、どうやってそれを見分けるのか教えてくれ!と思った方は多いんじゃないかと思います。
この本は、どれがSでVでOなのか見抜く方法を説明した本です。
まず、実際の英文は5文型の通りにはいかないことを説明してくれます。授業ではSVOCって習うのに、実際の英文はSから始まらないことがほとんどでですからね。その、Sの前の部分はこの本では「イントロ」と名付けられています。従来の文法書ではSVのみとされている文型も、この本の中では
イントロ S Sの説明 一般動詞 Vの説明
と定義し、Sの前後、Vの前後に「説明」が付くことを示しています。ちなみにVでなく一般動詞と書いてあるのはbe動詞文と区別するためです。
SやVという文の構成要素の、前からや後ろから「説明」が付くという説明は、大西泰斗先生の
ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力 (Native speaker series)
一億人の英文法 ――すべての日本人に贈る「話すため」の英文法(東進ブックス)
と似ています。というか、英文の構造の見抜き方について同じ方法を、言葉を変えて説明しているのだと思います。良い本というのは内容が似るんですね。
このような、英文の読み方系の本は他にも多数出版されています。伊藤和夫先生の英文解釈教室や西きょうじ先生のポレポレなども、近い内容なのではないかと思います。まだ読んでないので分かりませんが。
こういう基本中の基本と言える内容は、やはり大学受験の参考書が最も発達してますね。ここまでの本質的な内容は、TOEICや英検対策を冠した本では絶対に学べません。量をこなして英語に慣れるには最適な本が多いですが、一冊丸々使って基本原則を説明する本は受験参考書ならではです。
量をこなす前に、是非こういう理論系の本を何度も読んで、文の構造についてじっくり考えてみると良いと思います。